1切刃の摩耗による再研磨では、1回あたりの切込み量を多くしないで下さい。切込み量が多い場合、パンチにかかる圧力が大 きくなりコーティング層が剥離することがあります。2角部は成膜がR状になることがあります。精密用途ではそれを考慮のうえご使用下さい。表1 表面処理の種類表2 TiCNコーティングの基本特性 打抜きパンチの耐摩耗性は、材質特性による影響が大きく、材料単価に比例して向上する傾向があります。お客様においては、メンテナンス費用と製品精度、型費用とのバランスよりその選択が行なわれていて、パンチ工業では5種類の材質、【SKD11相当】、【SKH51】、【SKH40(粉末ハイス鋼)】、【超硬】、【超硬超微粒子】を、さまざまな形状の製品で規格化し、その選択に幅広くお応えしております。 しかし近年は、被加工材の多様化や製品の精密化、さらなる経費の削減などでその選択にはきめ細かさが要求されるようになり、その結果耐摩耗性とコストパフォーマンスを兼ね備えた『コーティング処理をしたパンチ』の要望が増大しています。そのような要望に対応すべく、パンチ工業ではコーティング(TiCN)を、パンチ・パイロットパンチの全材質に適用し提供いたします。コーティング(TiCN)の特長表面処理の方法は、表1のように目的用途に応じて色々な種類が存在しています。このなかでパンチ工業は、プレス打抜きパンチの要求性能に広い範囲で対応できる、物理蒸着法(PVD)によるコーティング(TiCN)を採用いたします。物理蒸着法(PVD)によるコーティング(TiCN)は、その処理温度が低く、焼入れ焼戻しされた母材の硬さ、および精密に加工された形状を、損なうことなく成膜することが可能です。これにより、カタログに掲載する全材質にコーティングタイプの適用が可能となり、より最適な選択が実現できる事となりました。また、膜硬度(表面硬度)が高い、膜厚が安定している、表面が滑らかであるという特長より、耐摩耗性が格段に向上するとともに、製品寸法の安定化や、切断面の品質向上とその維持にも効果を発揮します。パンチ工業が採用するコーティング(TiCN)の基本特性は、表2の通りです。コーティングの範囲(表3)ジェクタパンチは、ジェクタピンを組み込まずに処理を行い、処理後にセットして納品致します。また、着色された各範囲のコーティング状態は、以下の通りです。・コーティング範囲 基本特性通りに成膜される範囲・不完全膜範囲 不完全な薄い膜(1μm未満)が付着する範囲コーティング特性での注意事項400℃コーティング(TiCN)の基本特性分類焼入れ浸炭・窒化ショットピーニング化学処理メッキ表面改質化学蒸着(CVD)皮膜形成物理蒸着(PVD)プラズマ溶射塗膜基本仕様2~3μm片側の値項目膜厚膜硬度2700HV以上(膜単体)密着力摩擦係数0.6以下耐熱温度色調ダークグレー方法適用製品金型部品、工具機械部品、耐摩耗部品金属製品、化学製品等金型部品、工具半導体・電子デバイス等金型部品、工具機械部品等機械部品、圧延ロール等自転車、家電等備考ただし、製品で測定した場合は母材硬度を拾ってしまうため、1800HV(試験力50g)程度となる30N以上スクラッチ試験によるピンオンディスク型摩擦試験による荷重10N、測定子SUJφ6球、回転半径2mm,500spm20min1146TiCNコーティングの仕様
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