図1/コーティング膜の断面状態比較図2/特殊処理による対衝撃性の向上図3/テスト用金型図4/ストリップレイアウト2〜34〜72〜3位置硬さ2700HV位置700HV被加工材材料巾×板厚クリアランス被加工材傾斜角3度(図4参照)パンチ刃先形状丸形状、φ10.2mmパンチ種類 2006年1月より発売を開始しましたハイテン材用Fコートパンチは、多くのお客様にご購入いただき過酷なプレス加工やショット数の多いプレス加工で高い評価を得ております。しかし一方で、ご使用を検討されているお客様からは、使用するにあたり「他のコーティングと比較したプレス加工の結果を見せて欲しい」というご要望が多数よせられております。そこで、このようなお客様の声にお応えするために、当社でテスト用プレス金型を製作し、ハイテン材用Fコートパンチの耐久性を評価しましたので、その結果を報告いたします。Fコートは、従来のPVD処理(物理蒸着法)を基に膜の密着力を大幅に向上させ、さらに耐衝撃性を改善することでコーティング膜が本来持つ性能と耐久性を発揮できるようにした、複合技術による表面処理です。基本となるコーティング膜は、PVD処理によるTiCNで従来の当社標準品と同じですが、コーティング膜を施す母材表面を特殊処理により表面改質(強化)している点が従来品と異なります(図1)。コーティング膜は、処理をする母材表面の硬さに比例して密着力が高くなる特長があり、特殊処理で表面硬度が高いFコートは従来品と比較して密着力が大幅に向上します。また、母材が強化されていることで、衝撃による母材の変形が少なく、硬くて脆いコーティング膜の破損が防止されます(図2)。この2つの特長で、膜が本来持つ性能が十分に発揮され、従来品に比べてロングライフを実現しています。テスト用金型は図3で、同条件での評価を8本同時に行います(図4参照)。また、早期に結果を得るために被加工材を3度傾斜させ、クリアランスも3%に設定します。そのほかのプレス加工条件は下記の通りです。ハイテン材の打抜きに適していると思われる表面処理のなかから、TD処理、WPC処理+TiCNを水準として選び、Fコートとの比較を行いました。母材の材質は全てSKD11相当(60〜63HRC)で統一して、純粋な膜の耐久性が比較できるようにしました。膜の基本性能は表1を参照ください。評価は、2,000ショット毎に金型をプレス機から降ろしてパンチ先端のコーティング膜状態を観察しました。観察は、パンチを固定しているリテーナの外形面を基準に3方向から写真撮影しています(図8)。膜 種Fコート処理方法SPC780DU(ハイテン材780MPa)パンチ取付方法リテーナを使用100×1.63%(片側)ノック穴付ジェクタパンチ試験回数表面改質+物理蒸着(PVD)パンチ食込み量ダイプレート表面より5mm使用プレス機回転数潤滑AIDA 150ton55spm無潤滑10,000ショット膜厚(μm)膜硬度(HV)2700以上3200以上2700以上断面拡大部Fコートの仕様と特長テスト水準と評価方法試験の概要TDTDプロセスWPC+TiCN表面改質+物理蒸着(PVD)表1/テスト水準の膜種1144従来のコーティングコーティング膜母材TiCNコーティング膜 母材 従来品 母材が変形してコーティング膜が破損してしまう。 Fコート特殊処理母材TiCN特殊処理 母材 Fコート 特殊処理により母材が硬いため変形が少なく、膜が破損しにくい。 ハイテン材用Fコートパンチ比較テスト結果
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